牟礼、そして直島へ_6

地中美術館の次は李禹煥美術館へ。

どう読むのか、どこの国の方なのか、何を制作している方なのか…。

全く知らずに訪れた訳ですが、

この美術館がベネッセ地区の美術館の中で一番のお気に入りとなりました。

r0010236

r0010242

開放感のある前庭に

計算され尽くして配置された彫刻群。

入館する前に既に心を奪われてしまい(爆、

ここから動くことができませんでした…。

r0010250

置かれた彫刻の先にひろがる瀬戸内海。

私が訪れたのは夕刻、ゆっくりと日が沈んでいきます。

光と陰が刻々と変化し、

彫刻群の雰囲気が静かに静かに夜の気配を帯びていきます。

静謐さと妖艶と。

昼にあびた光を発光しながら夜の闇にまぎれていく彫刻群は

この世のものとは思えないくらいの美しさでした。

r0010257

安藤忠雄設計の美術館。

青く光る無機質なコンクリートの壁。

館内にある作品数は決して多くはないのですが、

自分の鼓動が聞こえるくらい静かな空間で対峙する彼の彫刻は、

美しさと静けさを私にもたらしてくれました。

私はどうなりたいのだろう?

私はどこへ向かっていくのだろう?

「沈黙の間」。

すぐには答えの出ない問いかけが私を思考の奥深くへ誘っていきます。

思考の波の心地よさに浸りながら、

私はいつしか考えることをやめ、ただただ無に帰していきました。

何時間でもいたい、何度でも訪れたい美術館。

そんな場所ができただけで、

ますます直島が身近に、

そして好きになった瞬間でもありました。

r0010264

牟礼、そして直島へ_5

ベネッセハウスミュージアムは、現代アートを中心に所蔵している美術館。

前日のイサム・ノグチの作品が私にとってあまりにも強烈だったためか、

ついつい気になってしまうのは石を扱った作品ばかり(笑。

安田侃「天秘」、リチャード・ロング「十五夜の石の円」。

いくら見ても見飽きない。

r0010215

地中美術館から瀬戸内海を望む。

ベネッセハウスミュージアムの次は地中美術館へ。

芸術祭開催期間中は特に混むよ、と聞いていたので、チケットは事前にweb予約済。

案の定、チケットセンターにはたくさんの人、人、人…。

やっぱり人気のある美術館なんだなぁと改めて思いました。

なぜ地中美術館という名前かというと、建物の2/3以上が地中に埋まっているから、と学芸員の方のお話を聞いてふむふむ。

建物には電気がついていなく、全て自然光を利用した明るさ。

そのため、訪れる時間、季節によって作品がもつ雰囲気がガラッと変わるとか…。

この時点で私の興味は収蔵されている作品より、建物の持つ力に向かってしまい(爆。

モネよりもタレルよりもデ・マリアよりも、安藤忠雄にいってしまった訳です。

螺旋の通路、暗い廊下からふと部屋に入ると、地上から取り入れたわずかな光がまぶしく作品を灯す。

ひんやりとした無機質な世界が、一変して暖かく光り輝く世界へ。

モネの部屋の明るさ、デ・マリアの礼拝堂を思わせるような荘厳さ。

効果的な光の使い方。

これはどうだ!!という力強い主張は全くなく、

あくまでも作品を引き立てるための入れ物。

本当に素晴らしかったです。

今度訪れるのなら、絶対真冬はがいいなと思いました。

r0010229

モネの庭

牟礼、そして直島へ_4

r0010164

牟礼そして直島への旅、2日目。

この日から2日間は直島を堪能しました。

初日はベネッセアートサイトエリアへ。

暑い一日でしたが、地図をみていたらこれは歩けるよなぁと思い、基本徒歩で移動。

暑さにはほどほど強い、歩くのは得意、という自分に感謝です(笑。

r0010155南瓜@草間彌生

ベネッセアートサイトエリアで一番最初に出会ったの作品。

この作品には昨年、埼玉県立近代美術館で開催された「永遠の永遠の永遠」展で出会っていたのですが、

やっぱり野外で観るのはいいなぁ〜と。

朝早かったせいか、作品独り占め。贅沢だよね☆

近くでみたり、遠くでみたり、斜めからみたり。

好きな角度で思いっきり楽しんじゃいました。

ベネッセアートサイトには3つの美術館があります。

私はベネッセハウスミュージアム→地中美術館→リ・ウファン美術館の順番で回りました。

歩いた者の特典、行く先々に寄り道していきなよ!!という作品がたくさんあり(爆、

なかなかベネッセハウスミュージアムにたどり着けません…。

予定通りにことが運ばない!!

ならば、こうなったら楽しんじゃった者勝ちとばりに寄り道し放題(苦笑。

これが旅の醍醐味、ですよね☆

r0010172三枚の正方形@ジョージ・リッキー

r0010179シップヤードワークス 船尾と穴@大竹伸朗

r0010181シップヤードワークス 切断された船首@大竹伸朗

r0010175旅に出ているはずなのに、ここからまた新しい地に旅立ちたくなってしまう…。

穏やかな瀬戸内の海。

眺めているだけで、いつしか喧噪の世界から静寂の世界へ。

歩くのが楽しいのか、

作品を鑑賞するのが楽しいのか、

どんどん無になっていく自分を感じるのが楽しいのかわからなくなってきます。

ただ一つ言えることは、私は自由だ!!と強く感じたこと。

そう、何物も私を縛ることはできないということ。

どんどん、どんどん身も心も軽くなっていく私がそこにいました。

r0010186

牟礼、そして直島へ_3

1日目最後のイベントは、直島にわたること。r0010089

今回の旅の移動手段は、飛行機、バス、電車、そして船。

乗り馴れなていない、使い慣れないていない、船。

やっぱり座る場所は屋上でしょう!!

と、乗船するやいなや、子どものように屋上に向かいました。

r0010076

1805出航。

イサム・ノグチ庭園美術館を訪れてからの移動だったので、

図らずもこんな時間になってしまいましたが、これが大正解!!

瀬戸内に沈む夕陽を眺めながらの船旅となりました。

r0010093

r0010112

r0010132

「うわぁ〜、うわぁ〜、うわぁ〜」

水辺とは無縁の生活を送っている私にとって、

海に沈む夕陽は、

あまりにもドラマチックで、ロマンチックで、ノスタルジック!!

空が染まり、海が染まり、そしてゆったりと闇が深くなっていく…。

船に乗っていた時間は、まるで映画を観ているような気分でした。

夕暮れ時の船、オススメです☆

*****

r0010138

直島について一番最初に出迎えてくれたものは、彌生ちゃんの赤かぼちゃ。

r0010143

そして、宿に期間限定でオープンしていたカフェ☆

卵とかぼちゃのサラダとビールをオーダー。

シェフは大阪で「araya cetering service」というお店を開いている新谷岳大さん。

*****

さぁ、明日からの2日間、ゆったりのんびり直島をめぐろう。

牟礼、そして直島へ_2

r0010025

イサム・ノグチ庭園美術館、受付。

この美術館を訪問する際は、閲覧希望日の10日ほど前に閲覧希望日時を往復はがきにて郵送する。

開館日は火・木・土の午前10時、午後1時、午後3時の3回のみ(定員あり)。

自分からイサム・ノグチを観に行こうとしなければ、扉は開かれない。

でも、扉を開きさえすれば、イサム・ノグチだけの世界が待っている。

それは私にとってたまらない空間だった。

r0010031

庭園美術館は二つのエリアに分かれている。

彫刻エリアと庭園エリア。

学芸員の方の説明を受け、どちらも30分ずつ自由に見学ができる。

エリア内は写真撮影不可なので、エリア外から撮影した写真を。

r0010028

彫刻エリア。

野外に置かれているのは、全て未完成の作品。

ここで創作活動していたノグチは、晩年これらの作品が完成されないだろうことを予想し、

展示物として一つ一つ考え、配置を決めていったそうだ。

未完成の作品はどれも荒々しく、ものすごくエネルギッシュだった。

完成されていないものだけがもつ野蛮さが、

真夏の日差しとともにじりじりとココロとカラダに焼きついていきた。

完成品はどんな作品になったのだろう?という想像さえ、完全に拒んでいく。

それでも未完成作品から目が離せないのは、

どこかに、ほんの一部かもしれないけれども、

ノグチのスピリッツがそこに彫り込まれているからだと思う。

蔵の中は作業場と完成作品が数点。

完成作品の孤高なまでの美しさは、言葉にできないほどだった。

他者を誰一人として寄せ付けない、そこに美として存在している作品たち。

作り手であるイサム・ノグチの声を聞く、対話するという生易しいものでは全くなく、

イサム・ノグチが考える美しさはこれだ!というぶれることない信念を見せつけられた。

うちのめされるほど格好良かった。

野外の暑さとはうってかわって、ひんやりとした空間の中で、

感性がどんどん研ぎすまされていき、どんどん内へ内へと入り込んでいき、

自分自身と対峙している私がいた。

「私の考える美しさってどんなものなのだろう?」と。

きっとこれは永遠の問いで、生きている限り続く問いなのだと思う。

r0010035

春と秋に暮らしていた家(ちなみに夏はイタリアで、冬はニューヨークで過ごしていたとのこと)

庭園エリア。

イサム・ノグチが作った庭園と、春と秋に暮らしていた家を外から観賞することができる(県の重要文化財指定を受けているため、中には入れず)。

「私の母を庇護してくださった方達に捧ぐ」とノグチが捧げた庭園がものすごく美しかった。

ブラック・スライド・マントラを思い起こさせるような作り上げた山を中心に、

石や岩を小川や滝にみたてて流れを作り、

カルフォルニアから持ってきて移植したユーカリが、マザーツリーのように生い茂り、

一瞬自分がどこの国にいるのかわからなくならないような感覚に陥る。

自分のアイデンティティはどこにあるのか?と問い続けてきたノグチにとって、

もしかしたらこの庭園は一つの答えかもしれないなと思った。

ノグチが死の直前まで愛した卵形の石がある。

「私が死んだらこの石を割って欲しい」との遺言を残して。

彼の愛する仲間がその石を割り、

今はこの庭園を見守るように山の頂きに鎮座している。

この石をこの場所に置くことが彼の意思かどうかわからないけれども、

ここよりふさわしいこの石の置き場所はここ以外にはないだろう。

r0010037

初めて訪れたイサム・ノグチ庭園美術館、

おそらくこれから、何度も何度も訪れるようになるだろう。

そんな予感を胸に抱き、この場所を立ち去った。

私だけのサンクチュアリ。

いつでも彼の魂にふれることができるように。

r0010038

牟礼、そして直島へ_1

2013年8月22日から24日の3日間で、牟礼、そして直島へ行ってきました。

6月下旬から飛行機を、宿を、観覧を手配し、

私の行きたいように、

私が行きたい場所を訪れた至福の3日間でした。

r0010016

 

なぜこの場所を訪れることにしたか?というと…。

ただただ海の側に行きたいな、と思ったのです。

どこの海がいいかなぁと夢想しながらノートブックに綴られている【叶えたいこと】ページをぱらぱらめくっていると、

牟礼にある「イサム・ノグチ庭園美術館を訪れる」と書いてありました。

そして「直島に行く」とも。

私の目はその2行に釘付けとなり、

訪れるのはこの場所しかない!!と旅の行く先はあっという間に決まりました。

r0010014

 

22日、羽田から高松へ飛行機でIN、その後バス、電車を利用して「イサム・ノグチ庭園美術館」へ。

私にとってイサム・ノグチは特別なアーティストの一人です。

1992年に東京国立近代美術館で開催された「イサム・ノグチ展」を訪れ、

『接吻』から目が離せなかったことを20年経った今でも覚えています。

何度も何度も行っては戻り、角度を変え、むさぼるように見つめ続けていました。

ただただその美しさに圧倒され、彫刻の前で立ち尽くしたのはこれが初めての経験でした。

その後「ユネスコガーデン」を訪れたり、「モエレ沼公園」を訪れたり…。

旅先に彼の作品があると、自然とその場所を訪れるようになっていました。

r0010020

 

この美術館が開館した時から、訪れたくて訪れたくてしょうがなかった場所。

ようやくその夢が叶います。

2013年8月17日開店「寫眞譚打上げ」

971607_284603495013796_1736642062_n2

(photo by Gaku ISHIHARA)

2013年8月17日に開催した「寫眞譚打上げ」の様子を。

私は何かに夢中になってしまうと、写真がまったく撮れなくなってしまうのですが(爆。

そこはさすが写真仲間!! ぬかることはありません(笑。

当日のbistro mikiの様子をお楽しみください☆

願わくは、あなたの食べてみたいもの、作ってみたいものが、

このメニューの中に一つでもありますように♬

1184835_509771452433537_945992309_n2

茗荷の甘酢和え(photo by Ohka TSUBAKIHARA)

1150315_509771439100205_994172339_n3  レバーパテ(photo by Ohka TSUBAKIHARA)

1186191_284603598347119_697723759_n2

鶏手羽中のブラックペッパー風味(photo by Gaku ISHIHARA)

1150304_509771502433532_1477406595_n3

焼野菜の塩麹マリネ(photo by Ohka TSUBAKIHARA)

1184826_284603611680451_1872819886_n2

鶏肉の酒蒸し(photo by Gaku ISHIHARA)

525731_509771509100198_1876353442_n2

エビとズッキーニのレモン生姜炒め(photo by Ohka TSUBAKIHARA)

971421_284603665013779_1919878432_n2

豚の角煮(photo by Gaku ISHIHARA)

542205_284603751680437_909436868_n2

胡麻味噌うどん(photo by Gaku ISHIHARA)

970516_509771755766840_120664299_n2

ナッツのパウンドケーキ(photo by Ohka TSUBAKIHARA)

564675_509771689100180_653267872_n

(photo by Ohka TSUBAKIHARA)

2013年8月17日のための開店準備

明日は私が所属している写真グループ、

『寫眞譚』の第1回展示開催記念の打ち上げデー。

第1回展示は6月中旬に行ったのですが、

メンバーの日程調整の結果、ようやく明日開催する運びとなりました。

 

場所はmikihouse。そう、我が家は明日bistro mikiになります☆

で、私は今何をやっているかというと、明日のために絶賛仕込中!!

 

dsc_1582

 

「どんなものが食べたいかな?」

「どんなメニューを組み立てようかな?」

「どんなふうに作っていこうかな?」

「気に入ってくれると嬉しいなぁ」

 

相手のことを想像しながら、

手順をシュミレーションしながら、

作業を進めていく時間は、やっぱり特別。

愛おしみながら、

慈しみながら、

ていねいに、ていねいに。

 

いつのまにか、

静かな夜が舞い降りてきました。

ナッツのパウンドケーキ

dsc_1527

 

夏は暑いのでオーブンの前に立つことをためらってしまいますが、

バターが室温に戻す時間があまりかからないので、実はバターを使ったお菓子を焼くのには適しているのではないかと思ってます。

ナッツの甘さを生かすため、甘さは控えめ、そして優しく。

そんなことを考えながら作ったレシピです。

ぜひお試しあれ!!

 

【材料】18cmのパウンドケーキ型

ナッツ類(無塩のもの:くるみ、アーモンド、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ)など 30g

→1種類でも構いませんが、何種類かまざることによって味が複雑になっていきます。

バター(有塩) 100g

→無塩のものを使う場合は、塩をひとつまみ入れてくださいね。

メープルシロップ 80g

卵 2個

小麦粉 50g

全粒粉 25g

アーモンドパウダー 25g

BP 小さじ1

【下準備】

・バターは室温に戻しておく。

・ナッツ類は160度に温めたオーブンで5分焼く。

→焼くことで香りが増します。

・小麦粉と全粒粉、BPは必ずふるっておく。

・ナッツ類の下焼きが終わったら、オーブンを180度に温めておく。

【作り方】

1.室温に戻しておいたバターをボールにいれ、泡立て器でクリーム状になるまで練り混ぜる。

ふんわりと白っぽくなったら、メープルシロップを半量入れバターになじむまで混ぜ合わせる。

きちんと混ざってから、残りのメープルシロップを入れ、さらに混ぜ合わせる。

→泡立て器の混ぜる方向は、一度決めたら粉を混ぜるまで同じ方向で!! 美味しく作るコツの一つです。

2.別のボールに卵を割りほぐし、3回に分けて加え、その都度必ずなじむまで混ぜ合わせる。

滑らかになったら、アーモンドパウダーを入れ混ぜ合わせる。

その後ナッツ類を入れ混ぜ合わせる。

3.ふるった小麦粉、全粒粉、BPを入れ、ゴムべらでさっくりと混ぜ合わせる。

4.パウンドケーキ型にオーブンシートを敷き、3の生地を流し入れる。

ゴムべらで表面をならして平らにし、中央にパウンドケーキ型の底につくくらいしっかりと1本線を書く。

180度のオーブンで40分ほど焼く。中央に竹串をさして何もついてこなければ焼き上がり、すぐに型から外して、冷ます。

 

綺麗に焼くコツは、パウンドケーキ型に敷くオーブンシートをきちんと型通りに敷いておくこと。

杏ジャムがおうちにあったら、表面に塗ると甘酸っぱさが加わって一段と美味しくなりますよ。

レシピ思案中

dsc_15042

ブログを開設した記念に何かオリジナルのレシピを作ろうとふと思いたちました。

「ナッツのパウンドケーキ」

この時期はバターがすぐに室温に戻ること、電動の泡立て器がなくても作れること、スーパーで全ての材料が揃うこと。

誰でも気軽にお菓子作りを楽しめる一品。

そんなレシピを作りたいなと思い、ただいま思案中です。

 

粉の量は決まり、手順もなんとかなった。

残るは甘さ……。1種類にするか、2種類にするか。

迷うなぁ〜。うん、迷う!!

私らしい甘さってどっちだろう?とついつい考えてしまいます。

ちなみにこの試作は2種類の甘さで作成、疲れた身体にしみいる甘さとか(先輩談)。

 

どんどん試作をして、レシピを完成させてしまいましょ☆