ハーフ&ハーフ

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昨年末、35mmフィルムで二コマ撮影できるハーフサイズカメラを購入した。

フィルム高騰の今、1枚で2コマ撮れるのはお得感たっぷり。

また小さく軽いのでシャッタースピードが遅くてもぶれることが少ないと、店員さんの話。

縦長のファインダーはiPhoneを思わせ、スマホで撮っているような気軽さが感じられた。iPhoneで撮る代わりに、ハーフサイズカメラで撮る。これは習慣にすればいいだけのこと。撮れば撮るだけ私の血肉となる。

 

ようやく1本目を先日撮り終え、現像から戻ってきた。

コマのカウントなんて全然していないのに、はからずもこんな素敵な偶然が起きていた。

外から目線

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以前、キャンプ関係の先輩に、

「お前の目線はあれだな、上からじゃなくて、外からだな。」

とことあるごとに言われ続けた。

外から見ているつもりは全くないんだけどなぁと、

なにを言われているのかさっぱりわからなかった。

けれどもここ最近、フィルムが現像から上がってくるたびにいつも思うのは、

私の写真は「静」だということ。

8月に撮った1枚。

喧騒としていて、猥雑で、いろいろな音や言葉、匂い、色が飛び交っている街なのに、

なぜか私が撮ったこの街はそんなことをほとんど感じさせない。

まるで遠くからその場を見るように、俯瞰した事象がそこにある。

「外から目線」、先輩が言い続けたことはあながち嘘ではないのかもしれない。

気になってはいるものの……。

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雰囲気がいいのか、悪いのか。

美味しいのか、美味しくないのか。

そもそも開店しているのか、閉店しているのか……。

昨年の夏からこの喫茶店の前を通るたびに気になっているのだけれど、

一度も入ったことがないし、入る気もない。

けれどもなぜか気になる。

私の暮らしの中にそんなお店、実はたくさんある。

サインポール

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去年の夏も今年の夏もこの床屋さんの前を幾度となく通りました。

サインポールは回り続けているのに、

お客さんらしき人はお店の中にはいらっしゃらず。

いつかこのBarberがやっているかどうかわかる日が来るのでしょうか?

知りたいような、知りたくないような。

ただこの佇まいだけはずっとあって欲しいと願うのです。

神戸元町 2015

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先日の岡山に桃狩りに行った際にお世話になったのは、明石に住む友人夫婦。

今回の旅の最終日、どこに行きたい?と尋ねられ、

洋館じゃない神戸を観光したい!と伝えた。

連れて行ってもらったのが元町「有楽名店街」。

日曜日の昼間ということで閉まっているお店が多かったが、

開いているお店から漂う料理の匂いの美味しそうなことといったら!

ついつい引き寄せられそうになったけれども、

この日のお昼はとんかつと決めていたのでここはぐっと我慢(笑。

次はもっとお店が開いている時に、

お店の誘惑を振り切りながら、いえいえずぶずぶと惑わされながら、

ぶらぶらと歩いてみたい。

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昼食を取った後は、海岸通りをぶらぶらと。

古いビルの一角を使った雰囲気のあるお店があちらにもこちらにもあり、

冷やかしに入るにも少しだけドキドキするけれども、

これ素敵じゃない?あれ似合うと思うんだけどなぁ?

そんな会話を交わしながらいろいろなものを見たり、手にとったり、

そしてこれといったものを購入するのはとっても楽しい。

都心にはこの手のお店がどんどんなくなっていき、

新しくできるのは大規模な店ばかりで、

品揃えはどこも変わり映えがなく、

はっきりいって全く魅力がない。

人が、いや私が暮らしていく上で、あるべき豊かさって一体なんなんだろう?

近くにあって欲しいものって一体なんなんだろう?

私はどんな暮らしがしたいのだろう?

そんなことをついつい考えてしまった神戸散策だった。

桃を狩りに。

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2015年8月1日(土)、岡山に桃狩りへ。

昨年も企画されていた旅企画、所用があり参加できなかった。

もしまたこの企画があるのならさんかしたいなとずっと思っていた。

思っているとなにかしらのきっかけがどこからともなくやってくるわけで、

今年の4月くらいに「夏に、それも清水白桃の出回る時期に岡山に桃狩りに行かない?」とお声がかかった。

これはチャンスだっ!と思い、鉛筆で手帳に「桃狩り、清水白桃、8月上旬」とすぐにメモした。

その後、人事異動があったり、母が入院したりと、

本当に行けるのかしら?と思えるようなことが何度かあったが、

1年越しで夢が実現した。

やはり書くということは夢を叶える上で重要なことだと実感した。

残念ながらその前の週にこの地方を襲った台風のせいで、清水白桃を狩ることはできなかったが、

果樹にたわわに実る真白き桃はとても美しく、甘い香りがそこらじゅうに漂っていた。

柔らかく手で包み、優しく手で木からもぎ取る。

狩った桃の食べごろは3日後くらいから。

自分で狩ったものはただそれだけのことなのに特別で、

箱から香る匂いを嗅いでは笑みがあふれてしょうがなかった。

愛しい、愛しい、私だけの桃。

その後、まさに食べごろの白桃を食す。

皮をむいた瞬間、手に果汁が滴り落ちる。

果肉を食べる、果汁を舐める。

みずみずしい桃を余すところなく味わい尽くすためにどうしたらいいか、

ただただ五感だけを張り詰めた。

食べるってきっとこういうことだ。

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食したあとは、なぜだろうか、身体中から桃の匂いがした。