これで一安心!

アレッタ(菜花)のオイル蒸し

2018年に松本を旅して以来、毎年6月から12月までsasakiseedsさんから野菜の定期便を取り寄せている。佐々木さんの野菜はとても美しくエネルギーに満ちあふれていて、食べると身体の中から元気になるのがわかる。毎週届く定期便を開ける時の喜びといったら!今週はこの野菜が入っていたからこれを作ろうと毎食の献立もあっという間に決まる。ただ残念ながら今は収穫期ではないので、定期便がスタートするのを今か今かと待ちわびている日々を送っている。

が、それでも野菜は食べるわけで、その間の野菜をどうするかは毎年の課題となっていた。生協の有機野菜ボックスを頼んでいたのだが、味が薄くて物足りない。美味しいのだけど、私が求めているのはこの味ではない。小さな不満が心の奥底で燻っていて、どこかにいいお野菜ボックスはないかしら?とずっと探していたのだが、ようやくタネカら商店という八百屋さんをみつけた。扱っている野菜の栽培の方法はsasakiseedsさんと同じ方法、これだ、私が欲しているのはこの野菜ボックスだ!と直感でわかった。早速注文した。

先日届いたお野菜ボックスをドキドキしながら開けた。今週入っている野菜と産地、おすすめの食べ方が記載された紙が入っている。うんうんとうなづきながら眺めながら、野菜をボックスから取り出した。そうそう、私が求めていたのはこういう野菜なのだと一目でわかった。この野菜が私の身体の中に入るかと思うと、嬉しくなり、そして安心した。これを作ろう、あれを作ろうとイメージが一瞬にして頭の中に浮かんだ。sasakiseedsさんのお野菜が食べられない間はここでお野菜を買おう。野菜に関してようやく安心することができた。

そういえばタネカら商店、どこかで聞いたことがあるなと思っていたら、昨年の暮らしの手帖に特集記事が組まれていた。私に必要なことは身近な場所にあって、気づくかどうかは私のアンテナ次第だったわけだ。思わずくすりと笑ってしまった。

朝食:トースト、ケールと人参のジュース、サラダ、金柑のマーマーレード入りヨーグルト、不知火

昼食:たけのこごはん、アレッタ(菜花)のオイル蒸し、りんご

夕食:のらぼう菜(菜花)とベーコンのレモンクリームパスタ、甘夏と新玉ねぎの和物、不知火

夜食:柿のドライ、ブリー

 

喪失から慕情へ

友人の作ったレモンを使ってマーマレードを作った。ジャム類を作るのは久しぶりで、手順を忘れているかと思ったら、思いの外身体が覚えていた。必要なグラム数、どのくらい煮詰めればいいのか、その時の状態を確認しながら作業を進める。柑橘類は煮詰める時間を見極めるのが難しい。足りないと緩すぎてソースみたいになるし、煮詰めすぎるとピールのよう固くなる。ここだという瞬間で火を止め、冷めるのをじっと待つ。しばらくたってから蓋を開ける。マーマレードはゼリーのように緩く固まっていた。いい塩梅、思わず顔がにやっと笑う。

こまごまとしたことをやることが私の暮らしの一部だったが、父が亡くなってからというものすっかり遠ざかっていた。最初は全くやる気も起きなかった。少し時間が経つとやろうかなと思たりもしたが、なかなか手をつけられず、やらずじまいだった。それがようやくここ最近になって再び暮らしの中に取り戻し始めている。もしかしたらそれは、父を亡くしたという喪失がようやく癒え、懐かしく、そしてようやく父と過ごした日々を愛しく思えるようになったからなのかもしれない。