ついつい買ってしまうもの

3月、大切な友人と久しぶりに会った。写真集のたくさん置いてあるお店なのに、私たちは写真集を手に取ることもなく、ただひたすらにここ最近の出来事を語り合った。買い物の話もした。ついつい買ってしまうものって何?と聞かれたので、器とか花器かなぁと答えた。あぁ、でもあなたならそれはいいと思うよと言われたので、そういうものなのかしらとにっこり微笑んだことが今では昔のことのようだ。

2月にくにさきかたち工房の器をギャラリーに取り置いてもらった。取り置いてもらった日は荷物がとても重くて、その上大きいので割れてしまうのではないかと怖くなってしまい、持って帰ることができなかった。後で取りに行くねと話していたら、日本にCOVID19が少しずつけれども確実に忍び寄ってきた。私は会社の往復で心底疲れてしまい、とてもじゃないけれども会社帰りにどこかに寄って帰るなんてできなかった。そのうち会社が在宅勤務になり、外出に関し口頭でドクターストップがかかったりして、電車に乗って外出することもなくなった。見かねたギャラリーオーナーがこんな時だからこそ美しいものと一緒にいた方がいいと取り置いた器を送ってくれた。お心遣いに感謝するばかり、どうもありがとう。

早速朝ごはんを器に盛った。ラム酒に漬かったドライフルーツとナッツ類がたっぷり入った全粒粉を使ったケーキとカフェオレ、友人の作った不知火を盛った。あぁ、なんておさまりが良いのだろう。美しいなぁとうっとり見惚れていたら、我が家のビーグル、るうが前脚を出してきた。危ない、危ない。急いでテーブルの奥の方に器を置き、ゆったりとした心持ちで朝食を食べた。朝はどうしても小麦粉の甘さが欲しくなる。

友人と会ったのはCOVID19が日本をざわつかせはじめた頃だ。お茶を飲んだり、歩いてギャラリーを巡ったり、最後に夕ご飯を食べて別れた。今思い起こすとあの日が最後の休日らしい休日だったのではないかと思う。あの日以来私は友人と一緒に出かけてはいない。

 

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