旅の最終日は、本村地区の「家プロジェクト」へ。
小雨降る中、10のプロジェクトを一日かけて訪問した。
「南寺」
ジェームズ・タレルのインスタレーションを受ける。
暗闇の中に潜む光、暗闇から抜け出た後の光。
いかに私たちが光の洪水の中で暮らしていることか…。
暗闇から感じるものに意識を働かせよ!!
そんなメッセージをタレルから受け取った。
「石橋」
窓越しから見える、黄色みを帯びた四角い石が、
雨に濡れて、しっとりと光輝く。
その石はいつまで見ていても飽きることがなく、
今回の旅が「石の旅」だったことに改めて気づかされる。
四季ごとに変わる千住博氏の作品、
次に訪れたときはどんなものがかかっているのだろうか?
静寂に包まれた空間はあまりにも居心地が良すぎて、
なかなか立ち去ることができなかった。
「碁会所」
須田悦弘氏の作品。
二つの碁を打つ場所に散らばる椿。本物かと見まがうほどに。
そして東京に戻ってきてから知る。
金沢21世紀美術館で大好きになった「雑草」が彼の作品だったということを。
「すきまネイチャー」を撮り続けている原点が彼の作品にあるということを。
私が観てきたものがようやくリンクしはじめる。
繋がることの面白さ、これからもっともっと加速していくと願う。
ちょうど「家プロジェクト」を訪問していた日に、
ANDO MUSEMでは安藤忠雄氏のギャラリートークが一日かけて開催されていた。
こういう機会を逃す手はなく、最終回に参加。
心の中に希望があれば、仕事は向こうからやってくる。
相手の心がわかる人間になろう。
迷った時は自分の原点に帰ろう。
私の心に残った安藤氏の言葉。
日本で、世界で活躍されている方はやはりエネルギッシュ!!
彼の建物に包まれていた直島、
次回彼の作品を訪れるのなら、茨木春日丘教会にすると心に決めた。
「きんざ」
一人ごとに入館し、15分間観賞することができる完全予約制の家プロジェクト。
予約受付開始日に予約、なんとか最終回に見学することができた。
地区内の喧噪から離れ、独り占めする静かな空間、
その空間に在る私、
そして、その中で考え事をする私。
それらを含めんでこその「きんざ」というアート、
ようやく完成したということを知る。
旅の終わり、本村港から岡山県宇野港へ。
また戻ってくるからね!!という気持ちで直島を去る。
だから寂しさはほとんどない。
今度は直島を拠点に島巡りをしようとか、
今回訪れることのできなかった宮浦地区を訪ねようとか…。
旅の終わりは旅の始まり。
次の旅も忘れられないものとなるよう、私は日々を暮らしていく。