20160110、由比にて。
最近の旅のお土産はなぜか食材が占める割合が高い。
先日の岡山に桃狩りに行った際にお世話になったのは、明石に住む友人夫婦。
今回の旅の最終日、どこに行きたい?と尋ねられ、
洋館じゃない神戸を観光したい!と伝えた。
連れて行ってもらったのが元町「有楽名店街」。
日曜日の昼間ということで閉まっているお店が多かったが、
開いているお店から漂う料理の匂いの美味しそうなことといったら!
ついつい引き寄せられそうになったけれども、
この日のお昼はとんかつと決めていたのでここはぐっと我慢(笑。
次はもっとお店が開いている時に、
お店の誘惑を振り切りながら、いえいえずぶずぶと惑わされながら、
ぶらぶらと歩いてみたい。
昼食を取った後は、海岸通りをぶらぶらと。
古いビルの一角を使った雰囲気のあるお店があちらにもこちらにもあり、
冷やかしに入るにも少しだけドキドキするけれども、
これ素敵じゃない?あれ似合うと思うんだけどなぁ?
そんな会話を交わしながらいろいろなものを見たり、手にとったり、
そしてこれといったものを購入するのはとっても楽しい。
都心にはこの手のお店がどんどんなくなっていき、
新しくできるのは大規模な店ばかりで、
品揃えはどこも変わり映えがなく、
はっきりいって全く魅力がない。
人が、いや私が暮らしていく上で、あるべき豊かさって一体なんなんだろう?
近くにあって欲しいものって一体なんなんだろう?
私はどんな暮らしがしたいのだろう?
そんなことをついつい考えてしまった神戸散策だった。
2015年8月1日(土)、岡山に桃狩りへ。
昨年も企画されていた旅企画、所用があり参加できなかった。
もしまたこの企画があるのならさんかしたいなとずっと思っていた。
思っているとなにかしらのきっかけがどこからともなくやってくるわけで、
今年の4月くらいに「夏に、それも清水白桃の出回る時期に岡山に桃狩りに行かない?」とお声がかかった。
これはチャンスだっ!と思い、鉛筆で手帳に「桃狩り、清水白桃、8月上旬」とすぐにメモした。
その後、人事異動があったり、母が入院したりと、
本当に行けるのかしら?と思えるようなことが何度かあったが、
1年越しで夢が実現した。
やはり書くということは夢を叶える上で重要なことだと実感した。
残念ながらその前の週にこの地方を襲った台風のせいで、清水白桃を狩ることはできなかったが、
果樹にたわわに実る真白き桃はとても美しく、甘い香りがそこらじゅうに漂っていた。
柔らかく手で包み、優しく手で木からもぎ取る。
狩った桃の食べごろは3日後くらいから。
自分で狩ったものはただそれだけのことなのに特別で、
箱から香る匂いを嗅いでは笑みがあふれてしょうがなかった。
愛しい、愛しい、私だけの桃。
その後、まさに食べごろの白桃を食す。
皮をむいた瞬間、手に果汁が滴り落ちる。
果肉を食べる、果汁を舐める。
みずみずしい桃を余すところなく味わい尽くすためにどうしたらいいか、
ただただ五感だけを張り詰めた。
食べるってきっとこういうことだ。
食したあとは、なぜだろうか、身体中から桃の匂いがした。
先週末、尾道市(向島)でいただいた尾道焼き。
朝の連続ドラマ小説『てっぱん』(2010年・NHK大阪)の主人公・あかりが
大阪で祖母と一緒に切り盛りしたお店「おのみっちゃん」で焼いていた尾道焼きも
こんな味だったのかしら?とふと思いながらぺろっと食べてしまいました。
2014年12月4日(木)から12月14日(日)までCrossroad Gallaryで開催されていた「カメラな旅 写真展」が無事に終了しました。
ご来場いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
「カメラな旅」という美味しいものを食べて、観光して、緩やかに写真を撮るというグループに参加することになり、
11月にメンバーで訪れた長崎の写真を展示しました。
額装した作品は、長崎の爆心地側にある被曝クスノキです。
原爆の投下により一度は焼け落ちた木ですが、2、3年後に芽を吹き返しました。
この幹を見たとき、愚かな私たちをお許しくださいと祈り続ることしかできませんでした。
そして祈っていると上から葉ずれの音や木漏れ日が差し込んできて、
私たちはこの世に生かされているという気持ちになり、
ぱぁと目の前が開けました。
この世に生かされているのなら、私に与えられた役目をきちんと自覚しよう。
そして、ただひたすらにそのことだけをていねいにやり続けよう。
11月の長崎の旅は、私にこんなことを教えてくれました。
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今年7月に母がくも膜下出血で倒れました。
その時、唯一私が触れることができたものが写真でした。
映像は動いてうるさいし、音楽は耳に障る。
絵画は主張が激しすぎて、現代美術を観るには心も身体もついていかなかった。
なぜそれが写真だったのかいまだにわかりません。
作品を通して、自分の心の奥にどっぷり浸り、浮上することを繰り返し、
心のバランスを取っていたのかもしれません。
いずれにせよ、
私は写真に救われ、たくさんの方々のご縁とご好意に助けられた半年間でした。
この場を借りて改めてお礼申し上げます。
どうもありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いいたします。
幸いなことに、母は後遺症も残ることなく、毎日を元気に過ごしています。
いつまでもそうあって欲しいと願う、2014年の年末です。
カメラな旅とは、
たくさんおしゃべりして、おなか一杯美味しいものを食べて、
いっぱい笑って、その合間に写真を撮る。
一人旅もいいけれど、仲間と旅するのもいいですよね!!
5年位前からみなさんで旅をしているそうです。
私は今年の11月、長崎の旅に初めて参加しました。
すっかり忘れていたけれど、今年の手帳に「フィルムカメラと仲良くなる」と書いてありました。
目標達成!?、今回はフィルムで撮った写真を展示します。
来年は誰とどこに行こう?
そんなことを思いながらぶらりと遊びに来てくださると嬉しいです。
あなたの旅のお話もぜひ聞かせてくださいね!!
≪会期≫
12月4日(木)〜7日(日)、12月11日(木)〜14日(日)
12:00-19:00(最終日は17時まで)
≪会場≫CROSSROAD GALLERY
東京都新宿区四谷4-28-16 吉岡ビル5階
03-3341-8118
四谷4丁目交差点 文房具 EMOTO のあるビル5階
旅の最終日は、本村地区の「家プロジェクト」へ。
小雨降る中、10のプロジェクトを一日かけて訪問した。
「南寺」
ジェームズ・タレルのインスタレーションを受ける。
暗闇の中に潜む光、暗闇から抜け出た後の光。
いかに私たちが光の洪水の中で暮らしていることか…。
暗闇から感じるものに意識を働かせよ!!
そんなメッセージをタレルから受け取った。
「石橋」
窓越しから見える、黄色みを帯びた四角い石が、
雨に濡れて、しっとりと光輝く。
その石はいつまで見ていても飽きることがなく、
今回の旅が「石の旅」だったことに改めて気づかされる。
四季ごとに変わる千住博氏の作品、
次に訪れたときはどんなものがかかっているのだろうか?
静寂に包まれた空間はあまりにも居心地が良すぎて、
なかなか立ち去ることができなかった。
「碁会所」
須田悦弘氏の作品。
二つの碁を打つ場所に散らばる椿。本物かと見まがうほどに。
そして東京に戻ってきてから知る。
金沢21世紀美術館で大好きになった「雑草」が彼の作品だったということを。
「すきまネイチャー」を撮り続けている原点が彼の作品にあるということを。
私が観てきたものがようやくリンクしはじめる。
繋がることの面白さ、これからもっともっと加速していくと願う。
ちょうど「家プロジェクト」を訪問していた日に、
ANDO MUSEMでは安藤忠雄氏のギャラリートークが一日かけて開催されていた。
こういう機会を逃す手はなく、最終回に参加。
心の中に希望があれば、仕事は向こうからやってくる。
相手の心がわかる人間になろう。
迷った時は自分の原点に帰ろう。
私の心に残った安藤氏の言葉。
日本で、世界で活躍されている方はやはりエネルギッシュ!!
彼の建物に包まれていた直島、
次回彼の作品を訪れるのなら、茨木春日丘教会にすると心に決めた。
「きんざ」
一人ごとに入館し、15分間観賞することができる完全予約制の家プロジェクト。
予約受付開始日に予約、なんとか最終回に見学することができた。
地区内の喧噪から離れ、独り占めする静かな空間、
その空間に在る私、
そして、その中で考え事をする私。
それらを含めんでこその「きんざ」というアート、
ようやく完成したということを知る。
旅の終わり、本村港から岡山県宇野港へ。
また戻ってくるからね!!という気持ちで直島を去る。
だから寂しさはほとんどない。
今度は直島を拠点に島巡りをしようとか、
今回訪れることのできなかった宮浦地区を訪ねようとか…。
旅の終わりは旅の始まり。
次の旅も忘れられないものとなるよう、私は日々を暮らしていく。
私が今回利用した宿の紹介を。
今回の旅で譲れなかったことの一つに、
「直島に泊る」ということがありました。
島に泊って、島の暮らしに直に触れたかったのかもしれません。
今回の旅でまず一番最初に行ったことは、飛行機の予約、その次は宿の予約。
どこに泊ろうかな?と直島観光協会のHPと島の地図を真剣に見続ける日々が続きました。
飛行機で高松にIN、ということは直島INは宮浦港。
帰りはできれば新幹線で帰りたいから…。
じゃ、宿は本村地区に取った方が楽チンだよなぁ!!
と、選んだのはこちら☆
HPから伝わってくる、この宿の持つ明るさ、清潔さ、美しさ、そして温かさ、etc、etc…。
ここを拠点にして島を探索できたら、どんなに素敵かしら?と、速攻予約(笑。
6月末の出来事でした。
こういう時の私の勘はなぜかよく当たりますv
とても居心地がよく、楽しくて。
スタッフもとっても笑顔の素敵な方達ばかり。
思わず、ただいまと言って玄関を開けてしまいそうになる(笑、Homeみたいな宿♡
直島を訪れる際の定宿、決定です!!
実はゲストハウスに泊るのが初めてだったので、不安がなかったわけではないのですが、
泊ってみたら、あらあら、たくさんのご縁が育まれた場所となりました。
案ずるより産むが易し、ですね☆
そして、世の中便利になったもの、
この時、ここで出会った方とはSNSを通じて、今もお互いの近況を発信しあっています。
旅での出会い、人とのご縁、
いついつまでも大切にしていけるよう暮らしを営んでいきます。
この場を借りて、bambooでご縁の繋がったみなさまに感謝をこめて。
2日間お世話になり、どうもありがとうございました。
またbambooでお会いしましょう!!
地中美術館の次は李禹煥美術館へ。
どう読むのか、どこの国の方なのか、何を制作している方なのか…。
全く知らずに訪れた訳ですが、
この美術館がベネッセ地区の美術館の中で一番のお気に入りとなりました。
開放感のある前庭に
計算され尽くして配置された彫刻群。
入館する前に既に心を奪われてしまい(爆、
ここから動くことができませんでした…。
置かれた彫刻の先にひろがる瀬戸内海。
私が訪れたのは夕刻、ゆっくりと日が沈んでいきます。
光と陰が刻々と変化し、
彫刻群の雰囲気が静かに静かに夜の気配を帯びていきます。
静謐さと妖艶と。
昼にあびた光を発光しながら夜の闇にまぎれていく彫刻群は
この世のものとは思えないくらいの美しさでした。
安藤忠雄設計の美術館。
青く光る無機質なコンクリートの壁。
館内にある作品数は決して多くはないのですが、
自分の鼓動が聞こえるくらい静かな空間で対峙する彼の彫刻は、
美しさと静けさを私にもたらしてくれました。
私はどうなりたいのだろう?
私はどこへ向かっていくのだろう?
「沈黙の間」。
すぐには答えの出ない問いかけが私を思考の奥深くへ誘っていきます。
思考の波の心地よさに浸りながら、
私はいつしか考えることをやめ、ただただ無に帰していきました。
何時間でもいたい、何度でも訪れたい美術館。
そんな場所ができただけで、
ますます直島が身近に、
そして好きになった瞬間でもありました。
ベネッセハウスミュージアムは、現代アートを中心に所蔵している美術館。
前日のイサム・ノグチの作品が私にとってあまりにも強烈だったためか、
ついつい気になってしまうのは石を扱った作品ばかり(笑。
安田侃「天秘」、リチャード・ロング「十五夜の石の円」。
いくら見ても見飽きない。
地中美術館から瀬戸内海を望む。
ベネッセハウスミュージアムの次は地中美術館へ。
芸術祭開催期間中は特に混むよ、と聞いていたので、チケットは事前にweb予約済。
案の定、チケットセンターにはたくさんの人、人、人…。
やっぱり人気のある美術館なんだなぁと改めて思いました。
なぜ地中美術館という名前かというと、建物の2/3以上が地中に埋まっているから、と学芸員の方のお話を聞いてふむふむ。
建物には電気がついていなく、全て自然光を利用した明るさ。
そのため、訪れる時間、季節によって作品がもつ雰囲気がガラッと変わるとか…。
この時点で私の興味は収蔵されている作品より、建物の持つ力に向かってしまい(爆。
モネよりもタレルよりもデ・マリアよりも、安藤忠雄にいってしまった訳です。
螺旋の通路、暗い廊下からふと部屋に入ると、地上から取り入れたわずかな光がまぶしく作品を灯す。
ひんやりとした無機質な世界が、一変して暖かく光り輝く世界へ。
モネの部屋の明るさ、デ・マリアの礼拝堂を思わせるような荘厳さ。
効果的な光の使い方。
これはどうだ!!という力強い主張は全くなく、
あくまでも作品を引き立てるための入れ物。
本当に素晴らしかったです。
今度訪れるのなら、絶対真冬はがいいなと思いました。
モネの庭